
ー 蔵出し / セルフライナーノーツ ー
ご挨拶
7月から販売しております『蔵出し』ですが、ありがたいことに多くの方に手にとって頂いております。この場をお借りまして、改めてお礼申し上げます。
はじめて音源を製作するにあたり、何度も繰り返し聴いてもらえる作品をつくりたい、という目標がありました。
どれだけ目標が達成出来ているかは、自分の手を離れた世界の出来事なので正直わかりませんが、「車で聴いています」とか、「家事をしながら聴いています」とか、嬉しい言葉を頂くことが増えました。
ごく身の回りの小さな規模から、皆さんの日常に何かを添えられること、何より嬉しく感じております。本当にありがとうございます。
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どこから聴き始めても成立する、何度でも聴ける、聴く度に印象が変わる、そんな音源集になっていると、手前味噌ですが自負しております。
今回、これまた手前味噌ではありますが、楽曲について、ちょっと一筆、想うところを書かせてもらいました。
『蔵出し』を手にとってくださった方も、そうでない方も。これがなにかの彩りに繋がると幸いです。
2017年9月6日 寺田穣
バカの壁
ご存知の通り、養老孟司先生のあの本から、イメージを体よく拝借しております。
拝借に於いて度々話題になりますのは、パクりかオマージュか、という事柄についてでございます。
得てしてその分岐点は『リスペクトの有無』であったりしますが、その点、わたしはおそらく怒られる方の拝借、いわゆるパクりなのだと自覚しております。原作未読のまま、言葉のイメージと響きで曲が出来ました。Amazonのレビューは読みました。
とてもありがたいことに歌い出しを口ずさんでくれる方が多いので、養老先生の耳に入ってド叱られるくらいにこの曲が広く親しまれたら素敵だなぁと思う次第です。
そうやって生きてる
雑な仕事の振り方をする人とか、気まぐれでころころ方針を変える人とか、有言不実行でなんでも放ったらかしの人とか、身の回りが理不尽で溢れていた時に出来た曲です。
理不尽は何をどうしても理不尽のままだし、もう自分達の気の持ちようで何とかするしかないし、実際みんな頑張ってることは間違いないし、だったら認めあって励ましあって、理不尽も明日へのエネルギーに変えてしまえば良い。
君も僕も頑張って生きてる。
当たり前だけどそれが総てで、それが一番大事だと思うのです。
パーソナリティ
初めて作詞作曲をした、ごく個人的な歌です。
自分の殻と他人の線引きとが中々上手く折り合わず、くしゃくしゃになっていた時期がありました。
捻れにねじれて、疲れて投げ出して開き直ったら楽になりました。
もし、自分と同じ様にもがいている人がいるならば、開き直るのも一つの手段だよ、と伝えたくて今日も歌っています。
仲良し仔良し
お休みの日に近鉄電車に乗ってお出かけしようよ、という曲です。
三重方面のお客様から、近鉄特急はオレンジじゃなくて柿色だよ、とご指摘を受けたことがあります。真相は霧のなか。みえない。三重だけに。
目覚めろクズボーイ
クズボーイと言うフレーズを流行らせたくて作りました。
(こういった流行はローカルなコミュニティから広まるものですが、今のところ僕の周りでは流行る兆しがございません。)
『やりたいことをやるのは構わないが、人様に迷惑だけはかけるな』という父親の教えをだいぶんねじ曲げて解釈をしながら曲にしました。
一歩踏み出せずにいるクズボーイの後押しになりますことを。
深夜の悪ふざけ
失恋は引き摺りたくないもので、大変にコンパクトな曲になりました。失恋なんてだいたいそんなものです。
誰も悪くない
大小問わず、どうしたってやりきれない悲しい出来事はあります。
そんなときに唱える、自分にとっての魔法の言葉、誰も悪くない。
それで気が楽になるならば、例え嘘だとしても、信じて良い言葉だと思っています。
損得感情ご都合主義
嫌んなることとか辛いこととか、そういうの沢山あるけれど、ちょっと考え方を変えたら意外と楽になるなぁ。そんな曲です。
気持ち一つ、見方一つで変わるならば、やっぱり自分は得を取りたいなぁって、なかなか都合が良い生き方だとは思うのですが、それで笑顔が増えるなら、それも有りだと思うんです。草草
ビールでも飲んで
大人になるにつれて、一日の着地点がビールに落ちつくことが増えました。
飲まなきゃやってられない日も、祝杯をあげたい日も、旧友との再会の日だって、(僕の場合は)いつだってビールがそこにあります。
楽しく飲んで真っ直ぐ帰る。
酒飲みによる酒飲みのための酒飲みの曲です。皆様の乾杯のお供になりますことを。
あなたがいるから
人間って不思議なもので、幸せも苦痛も非日常も、気が付くと慣れてしまうものです。
身の回りの色々な喜怒哀楽は当たり前の幸せの上に成り立っているんだと、ふとした瞬間に気が付いたときに出来ました。
お仕事帰り、学校帰り、息抜き気分転換の帰り道。夕暮れ時にふと漂ってくる夕飯の香りって、温かくて幸せだなぁ。ありがとう。そんな曲です。
日時計
30歳を手前にして、帰れない町、ができました。
またここにおいで
アマチュアミュージシャンのライブって不思議なもので、お客さんと演奏者との距離が凄く近いんです。
だから、ステージを降りたら、ひと対ひとで向き合える。
ごくローカルに、いま、目の前にいるあなたと向き合いたい。そんな願いを込めて作った曲です。
善くも悪くも、個人と個人で繋がれる時代だと感じています。だからこそ、同じ時間を共有してもらえた方には何かを伝えていきたい。
お会いできた方のお名前やお人柄、主義主張や喜怒哀楽。総ては難しいですが、できる限り覚えるようにしています。
このCDを手にとってくださったあなたと、ライブやプライベートでまたお会いできますことを、祈りながら、願いながら。
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セルフライナーノーツ、お付き合いくださりありがとうございました。
皆さんの明日がいい日になりますように…!

ギター弾き語り音源集
『蔵出し』
収録曲
01,バカの壁
02,そうやって生きてる
03,パーソナリティ
04,仲良し仔良し
05,目覚めろクズボーイ
06,深夜の悪ふざけ
07,誰も悪くない
08,損得感情ご都合主義
09,ビールでも飲んで
10,あなたがいるから
11,日時計
12,またここにおいで
JTRD-0001
全12曲収録
定価2,000円(税抜)
2017年7月1日発売
題字/LIVE BAR U-ree 益田一
録音・編集/YOSHIDA SOUND LAB. 若杉厚介
似顔絵/河原美貴
作詞・作曲・演奏・装丁/寺田穣